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写真との関わり方

 

私は写真が好き。

瞬間的に捉えられた時間の流れが一枚の写真として浮かび上がってくる。

アンリ・カルティエ=ブレッソンの「決定的瞬間」という作品がある。

 

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彼の写真は次の瞬間に何が起こるのか、そういった見る側の中で想像を展開させていく。

ある出来事が、時間という動きの中で決定される前の瞬間を、その時間の流れを保ったまま映しだされる。それが、今にも動き出しそうな印象を見る側に与えるのだ。

普段、一瞬で消えてしまうものを記憶し、様々な人と感情の共有をする。

まさにそれこそが写真の本質なのだと思う。

 写真はその誕生の瞬間から常に「動的」なメディアとしてあり続けてきた。

カメラという機械の技術革新がその最たる例で、その後、大型カメラからライカのような小型なカメラが生まれ、徐々にフィルムからデジタルへと移行し、現代においてはスマートフォンをはじめとしたモバイル・デバイスでもハイクオリティな撮影が可能となったことで写真との接し方はかつてないほどの広がりを見せている。そして、デジタル化が進むことでネット上での展開が広がり、InstagramTumblrTwitterなどのSNSにアップロードされていく。

それは刹那的に私達の視界を流れていく。それが休むこともなく毎日続いているである。

写真はもはや生活の一部として私達に根付いている。

街に出れば、たくさんの広告写真が辺りを彩り、ネット上では大量に生産される写真の渦が待ち受けている。

人々は写真に感動し、商品を買えば、何かしらの行動に移していく。

最近の最たる例がトルコ砂浜に漂着した移民男児の遺体写真であろう。

写真は無慈悲と言える現実すらも私たちに共有させる。

その痛ましい現実に心動かされ、移民受け入れの流れがヨーロッパで出来上がっていくこととなった。

写真とはそれほどに強い力をもった存在なのだ。

 

 もしここから50年後までの未来を想像した時、写真と私達の関係はどうなっているのだろうか。

簡単に想像できることは、よりソーシャルメディア上でのコミュニケーションツールとしての存在感が増していくということだろう。

現代においてもフィルムカメラの需要は減少傾向にある。現像に時間がかかり、費用もかかってしまう。何より、即効性に欠けてしまう。SNSで刹那的に生まれていく写真の流れには追いつけない。

一方でデジタルは失敗してもいくらでもやり直しがきき、気軽に撮れる。そしてすぐに結果を見ることが出来る。そのうえで、やろうと思えばフィルターで素人でも簡単に様々な質感が出せてしまう。

写真の発表の場がネット上にシフトしていくということは便利であるがゆえに、そういった即効性が求められる。そうなってくるとはじめからデータとして存在しているデジタルカメラのほうがより合理的であるのだ。

だが、そんな流れに逆行しようという考えも確かに存在している。

ギャラリー、ブックショップ、ライブラリーなど複数の昨日をひとつに融合させたリアルなカルチャースペースの存在だ。

公的文化機関による運営のものや有志が集まるインディペンデント系など、母体は様々あるが、中でも注目されているのがダブリンではじまったThe Library Project(TLP)だ。

世界各国から集められた写真やビジュアルアートに関する書籍が数多く蔵書されている。

書籍コレクションを写真やコンテンポラリーアートのファンと共有できるスペースの創設が不可欠という認識からはじまったプロジェクトで、観光客も数多く訪れる立地を生かし、写真に関連したイベントを行う他写真カルチャーのハブとして機能している。

こういった運動は世界各国で行われており、日本でもそれは例外ではない。

代官山蔦屋などはその好例と言えるだろう。

 デジタルという便利さは天井を知らない。時とともに変化をし続けている。結果は即時に現れ、快感はすぐ訪れる。しかし、それは本当に刹那的に過ぎていく。50年後という時間の先には想像もできないような便利さに溢れているに違いない。しかし、その本質は変わらない。すぐ手に入る快感はすぐに飽きてしまうものだ。そして何より、たえず動き続ける写真の渦は見ていて疲れてしまう。

だからこそ、あえてフィルムカメラのような不便な存在から得られる、時間のゆとりが必要になってくるはずだ。あえて大判で刷られた写真や、写真集のリアルなでざわり、それを実際に顔をあわせて共有し合えるスペース。それこそが50年後という便利すぎて、たえずネット上で動き続ける世界の中でひとつの休息場になり得るのではないだろうか。そういった空間はたとえどんな先の未来であっても必要になってくると私は確信してる。

 

 

 


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