映画を語る猫

映画やドラマについてあれこれ語る雑記サイトです

ネタバレ注意 ミッドサマー感想 気色悪いけど何とも言えない没入感

f:id:banira11aisukuriimu:20200225200937j:plain

引用 https://a24films.com/films/midsommar

 

www.youtube.com

 

 

劇場で観て興奮したので、久々に感想を書こうと思います。

そんなわけで今回の題材はミッドサマーです。

本来のタイトルはミッドソマーらしいですが、単純に語感の良さなんかでそうなったんでしょうかね?

ミッドサマー とだけ聞くとなんか恋愛ものみたいなタイトルですね。

いや、実際恋愛っちゃあ恋愛なのですが。。

 

 

 

 

 

あらすじ

ヒロインのダニーは精神を病んでしまった妹のことが気がかりで仕方ないお姉さん。

そして自分自身も精神疾患を抱えていました。

ある日、妹が家族とともに自殺を図り、ダニーは孤独の身となります。

心に傷を負ったダニーは恋人のクリスチャンを頼りますが、クリスチャンはそんなダニーを重荷に感じてしまうのでした。

時が流れ、夏休みとなりクリスチャンはスウェーデンから留学してきた友人のペレから地元で90年に一度開催される夏至祭を見にこないかと誘われます。

そこで、他数人の友人たちと恋人のダニーを連れ、ペレの故郷ホルガへと向かうのでした。

ペレの故郷はスウェーデンのとても小さな集落でした。

スウェーデンの幻想的な風景にダニーたちは心を奪われていきますが、ホルガは自然信仰に満ち溢れたカルトの村だったのでした。

 

 

 

 

 

感想

まず一言。

なんて気色悪い映画なんだ!

思わず声が出てしまいました。

 

本作は実に陰鬱な雰囲気から物語が始まります。

ダニーは心に不安を抱えていて、恋人のクリスチャンに依存していました。

それに嫌気をさしつつも別れきれないでいるクリスチャン。

よくある男女関係がこの映画の中でとてもリアルに映ります。

そして最愛の家族が自殺するという近年稀に見る陰鬱なモノローグで物語は始まります。

 

もうこの時点でお腹が痛いです。

そして、この物語で一番気色悪い男ペレが言葉たくみに自分の故郷へと皆を連れて行きます。

一見、人当たりがよく理性的なペレですが、物語を見た後だとなんて気持ち悪い奴なんだといわざるを得ない。

 

そんなこんなペレの故郷であるホルガに誘い込まれてしまうわけですが、このホルガこれまた不気味なくらい明るいんです。

住んでいる人々も周囲の風景もどれもこれもが明るく美しい。

ここまでくると逆に恐怖すら感じます。

 

最初こそ、北欧の伝統的なお祭りなのかな?

牧歌的な素晴らしい情景だな。

なんて、魅入ってしまうわけですが、次第に不穏な空気が漂い始めます。

いきなり怪しげな儀式に連れてかれたかと思えば、ホルガの老人と老婆がいきなり身投げをし始めたり、しかも死に損なった老人をハンマーで撲殺し始めます。

そのシーンがとにかくグロい。

ホルガの中では72歳を迎えた人間は死んで、新たな命へと転生するという考えらしく、むしろ誉れであるというのだから驚きです。

 

実際、日本でも姥捨山のような伝承があるくらいですから、そういう儀式が生まれるのはまあ分からないでもないですが、いかんせんショッキングすぎます。

 

そんなこんなホルガは普通ではないと察し始める主人公たちですが、論文のためだの何だのと村に留まってしまいます。

 

本作の恐ろしいところはホラーでありがちな夜に恐怖が訪れず、ほんと真昼間に恐怖が訪れるということです。

しかもその恐怖は驚かしてくるような恐怖でなく、本当に静かに襲ってきます。

次々と現実が壊れていく緻密な描写は本当に素晴らしいです。

 

ホルガに住む全ての人々はまるで一つの生命体のようにお互いを慈しみ、ありとあらゆることを共有しあいます。

最終的に主人公のダニーはそんなホルガの人々を信頼していってしまいます。

一方、クリスチャンは薬物で錯乱していたとはいえ、ダニーを裏切り村娘と関係をもってしまいます。

その姿を見てしまったダニーは失意のどん底に落ちてしまうのですが、村の人々はダニーと心が繋がっているかのように一緒に涙を流し始めました。

この瞬間、ダニーはホルガの一員となったのです。

最終的にダニーはクリスチャンを夏至祭の生贄に選んでしまいます。

 

 

f:id:banira11aisukuriimu:20200225201418j:plain

https://twitter.com/midsommarjp?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

 

 

ダニー以外の仲間たちはみな惨たらしく殺されてしまうわけですが、当の本人はというとクリスチャンの火あぶりに何とも開放感に満ち溢れた笑顔を浮かべエンディングを迎えます。

 

なぜ、ダニーは笑顔を浮かべたのか。

それはおそらく、世俗での辛い現実や、クリスチャンという依存の鎖から解き放たれ、ホルガという一つの共同体でいることに心の安寧を見つけたからに他なりません。

そういう意味ではダニーのみがハッピーエンドを迎えたわけですが、いかんせん気色の悪い映画に他なりません。

皆が同じ悲しみや喜びを分かち合い、共同体として生きていくホルガの生き方は確かに魅力的かもしれません。

しかし、その裏で行なっているのは残虐な儀式や薬物による洗脳であったりと、とても肯定する気にはなれないものばかりです。

それでもこの映画が頭から離れないのは念密に仕上げられた画面作りやストーリー構成あってこそです。

見終わった後、間違いなく僕はこの映画に気持ち悪さを感じましたが、時間が経てば経つほど、その魅力に引き摺り込まれていきました。

こんなに一つの映画に没入したのは久々でした。

ぜひ、劇場で見ていただきたい作品です。