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マザコンの独白 【映画 田園に死す 感想】

愛情なんてものは実に不潔だ。
特に僕の口から出たと思うといやらしい。

 

と、過去に対して独白してみてもあまり気分はよくない。
もしかしたら多分に美化されてしまっているかもしれない。
していることだろう。

 

それでいて都合の悪いことは忘れて、また同じことを繰り返す。
そういう人間だっている。


ザコンというのは僕のことではない。
あいつのことだ。

 

あいつはいつも自分の性をおおっぴらに語る。
やれ、人妻と一夜を共にしただの、毎晩違う恋人と性を桜花しただの。
くだない言葉を投げ捨てる。
くだらなくて刺激的だ。

 

僕はそれを拾い上げて、嫌悪するふりして喜んでる。
でも、わかってる。
あいつの言うことなんて大概がフィクション。
もしくは現実を誇張してるにすぎない。

 

往々にして女を熱くしたと言う妄言の影には母親がいるのだ。

 

「母のない子になったなら、だれにも愛を話せない」
あいつの言葉はいつだって神経を逆立たせる。
だからこそ魅力的なのかもしれない。

 

 

 

田園に死す
 

 

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©1974 テラヤマ・ワールド/ATG
画像引用 http://2015.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=233

 

田園に死すと言う映画は今から半世紀近くも前のものになる。
この映画は過去の虚構化がテーマになっている。

 

「現在の私」が過去を思い返し、美しく誇張された自伝映画を作るところから物語が始まる。
人妻からの甘い誘惑、母を捨て、駆け落ちする逃避行。

 

書けば書くほど過去は膨張し、現実から遠くなる。
白化粧はさらに濃くなり、もはやそれは「私」ではない。

 

現実にはそんなものはない。
母から逃げられず、ずっと心は田園に縛られている。

 

母と言うものは鎖そのものだ。
どこにいても愛していようと憎んでいようとつきまとう。
そして愛を教えてくれる。
だからこそ寒気がする。
執着されることに疲れてしまう。

 

でも、知ってる。
母は逃げられないことを知ってるのだ。
だから愛情なんてものは不潔なんだ。

 

結局、最後の最後まであいつは母親を殺人し続けた。
何度も何度も。
それでも母はあいつの元を離れることはなかった。
それは紛れもなく愛で、嫌悪で、だから救い難い。

 

でも、不幸では決してないのは何となく分かる気がする。
母親という関係を思い返す。
古い話だ。
寒い日。
誰も知らない。
暗くなる黄昏時。
抱きしめられた。
母の身体は冷たかった。

 

それだけが今でも鮮明に思い出せる。
だからきっと、この先も僕は逃げられない。
ずっと愛を忘れることができない。
だからやっぱり愛情は不潔だ。

 

 

 

 

 

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